NGT48 山口真帆さんが声を挙げたのが「正しい」3つの理由/NGT48が今後も続くために必要な5つの課題

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山口真帆さん(NGT48公式Webサイトから引用)

エグゼクティブ・サマリー

  1. NGT48 チームGに所蔵する山口真帆さんが自宅で男2名に襲撃される事件が発生した。この事件について山口さんがTwitterSHOWROOMの自身のアカウントで被害を訴えた件について、山口さんが2019年1月10日のNGT48劇場での公演で「お騒がせしました」と謝罪した。
  2. この事件について山口さんがTwitterSHOWROOMで被害を訴えた行動が「正しい」と評価でき、山口さんは謝罪する必要がなかったと断言できる3つの理由がある。
  3. NGT48とその運営会社には5つの課題が提示できる。NGT48が今後も継続して活動するためにも、NGT48とその運営会社はこれらの課題に早急に取り組む必要がある。

はじめに

NGT48 チームG 山口真帆さんを男2名が襲撃する事件が発生

www3.nhk.or.jp

 アイドルグループ「NGT48」の「チームG*1」に所属する山口真帆さんがTwitterSHOWROOMの自身のアカウントで、自宅において男2名に襲撃された旨を公表しました。

 これを受けて、NHKや主要紙などの報道各社が事件を報道しています。

騒動が起きたことを受けて山口さんがNGT48の公演で謝罪

 その後、2019年1月10日に新潟市にあるNGT48劇場で行われた公演で、山口さんが「この度はたくさんお騒がせして申し訳ありません」とファンに謝罪しました。

www.sponichi.co.jp

謝罪に対して「謝らなくて良い」との声も

 山口さんが公演で謝罪したことを受けて、ネットでは山口さんに対して「謝罪しなくても良い」との声が相次ぎました。

www3.nhk.or.jp

 また、山口さんと同じNGT48に所属する柏木由紀さんやNGT48に所属していた北原里英さん、HKT48のメンバーとして知られる指原莉乃さんも、Twitterで山口さんを支援する投稿をしています。

柏木由紀さん(AKB48 チームB/NGT48 チームNIII)のTwitter投稿

 北原里英さん(元NGT48 チームNIIIキャプテン)のTwitter投稿

 指原莉乃さん(HKT48 チームHメンバー)のTwitter投稿

一部のNGT48ファンの声

 その一方で、 私の周りのNGT48ファンからは「NGT48の存続を考えると運営会社がうやむやにしようとしたのも無理はない」や「自分の“推しメン”にも迷惑が掛かってしまうのではないか」との声も上がっていました。

 

山口さんの行動が正しかった・山口さんに謝る必要がない3つの理由

 しかし、一部のNGT48ファンが何と言おうと、私は「山口さんの行動が正しかった」「山口さんは謝る必要などない」と断言します。その理由は3つです。

  1. 山口さんが「刑事事件の被害者である」点
  2. 山口さんを巡る事件が「基本的人権の侵害である」点
  3. 被害を受けた事実がうやむやにされると、同様の事件の発生を防げない点

 1つずつ検証していきましょう。

1.山口さんが「刑事事件の被害者である」点

 山口さんが暴行を受けた件はれっきとした「刑事事件」であり、それを手引きしたNGT48にそれを手引きしたメンバーがいるとされています。

www.huffingtonpost.jp

 しかし、運営会社はその事実を知りながら、そのメンバーに対して放置を続けていたことが山口さんの証言から明らかになっています。

 山口さんへの暴行を手引きし、ともすれば暴行の「幇助犯」になり得るメンバーの存在を黙認していたのだとすれば、運営会社はコンプライアンス(法令遵守)の観点から弾劾されなければなりません。

 また、そのメンバーはNGT48の規則に反しながら寮に男2名を招き入れるなどしていたとされています。NGT48の規則や方針がメンバーに徹底されていなかったとしたら、運営会社はガバナンス(企業統治)の観点からも問題を抱えていたということになります。

 これらのコンプライアンスやガバナンスを巡る問題を明るみに出したという意味で、山口さんの行動は「正しい」と断言できます。

2.山口さんを巡る事件が「基本的人権の侵害である」点

 山口さんが被害を受けた暴行事件は刑事事件であるとともに、基本的人権の侵害」です。また、暴行事件を起こした男2名はNGT48ファンであったとされています。

 NGT48としての活動に端を発して山口さんが暴行事件の被害に遭ったのだとすれば、運営会社が山口さんにケアをするのは当然のことでしょう。早急に再発防止策を講じたり、カウンセリングを受けさせたり、関与したメンバーを処分したりといった対応が考えられます。

 しかし、山口真帆さんの証言によると、少なくとも関与したメンバーの処分はなかったとされています。また、事件が明るみに出てようやく、運営会社は「全メンバーへの防犯ベルの支給や、自宅の巡回などの再発防止策を講じる」と発表しました。

 山口真帆さんが被害を受けた暴行事件のみならず、事件後に運営会社が毅然とした対応を怠ったこともまた基本的人権の侵害」であると言えます。

 そのような「基本的人権の侵害」の実態を世に問い、是正を求めるという意味でも山口さんの行動は「正しい」と断言できます。

3.被害を受けた事実がうやむやにされると、同様の事件の発生を防げない点

 山口さんが今回の事件について口を閉ざしたままだったら、山口さんが暴行事件を受けた事実は多くの人に知られなかったでしょう。

 アイドルグループのメンバーが同様の事件で被害を受ける可能性はNGT48のみならず、同じAKB48グループや乃木坂46などの他のアイドルグループでも考えられます。
 NGT48をはじめ、各アイドルグループの運営会社が同様の事件の発生を防ぐ(第二・第三の山口さんの出現を防ぐ)ためにも、今回の事件は明るみに出る必要がありました。さもなければ「アイドルグループのメンバーが犯罪を手引きして、他のメンバーへの加害行為を幇助する」といったリスクが真剣に議論されることはなかったでしょう。

 各アイドルグループの運営会社がメンバーの安全を真剣に考えるようになるためにも山口さんの行動は不可欠であり、「正しい」と断言できます。

 

企業経営(NGT48の存続)の観点から早急に取り組むべき5つの課題

 また、NGT48ファンが求める「NGT48の存続」を考えるのであれば、運営会社は早急にNGT48に残る「膿」を出し切る必要があると断言します。主な理由は以下の通りです。

コンプライアンス:NGT48で起きている違法行為や倫理違反を排除する 

 現代の企業経営においてコンプライアンス(法令遵守)」を無視することはできません。コンプライアンスは企業経営における基本中の基本であり、これを蔑ろにする企業は存続が危ぶまれます。
 NGT48が安定して健全に活動するのであれば、NGT48とその運営会社が社会的な信用を得る必要があるのは間違いありません。そのためにも違法行為や倫理違反の徹底した排除は当然に求められます。
 さもなければ、ファンやスポンサーからの信頼の喪失による利益の逸失や、メンバーやその家族からの信頼の低下による人材の流出・質的低下といった事態すら考えられます。

 NGT48が存続するためにも、違法行為や倫理違反を排除して、法令や規則はもとより常識や倫理を周知するなどのコンプライアンス対策が求められることは言うまでもないでしょう。

CSR:ステークホルダー(ファンやスポンサー、メンバーやその家族)への説明責任を果たす

 現代の企業経営における欠かせない事項の一つがCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)」です。企業は利益を追求するだけでなく、その活動が社会に与える影響に責任を持たなければなりません。また、ステークホルダー(利害関係者)からの要求に対しても適切にこたえていく必要があります。

 この場合における「ステークホルダー」とは、まずはファンやスポンサーです。また、メンバーはもちろんですが、メンバーには未成年者や若年層も多いことから、メンバーの家族もステークホルダーの一員として考えるべきでしょう。

 アイドルグループのファンにとっての最大の関心事はメンバー、特に自分の“推しメン”の幸福、より具体的に言えば健康や安全でしょう。「メンバーが安全に活動できる」という前提条件が果たされてこそ、ファンはメンバーを安心して応援できるのです。これは顧客ロイヤルティ(後述)とも関係しますが、「メンバーが安全に活動できる」ことが証明されないことには、ファンはメンバーを応援できません。NGT48がアイドルグループとして今後もファンを獲得・維持したいのであれば、NGT48とその運営会社はファンに対する説明責任を果たす必要があります。

 スポンサーの多くは新潟県内の企業や自治体であり、彼らのコンプライアンスを考えれば反社会的勢力と取引することはできません。スポンサーとの関係や契約を維持するためにも、NGT48が健全なアイドルグループであることを強調する必要があり、そのためにはNGT48とその運営会社がスポンサーに対する説明責任を果たさなければなりません。

 何より、アイドルグループは魅力的なメンバーがいて初めて活動できます。メンバーたちが安心して活動できる環境でなければ、メンバーは安心して歌ったり踊ったりできるでしょうか。「自分が襲われるかもしれない」「この中に自分を傷つけようとする人がいるかもしれない」という状況で、メンバーはファンに笑顔を振りまいたりできるでしょうか。アイドルグループとしての不可欠なメンバーの安心やモチベーションを維持するためにも、運営会社はメンバーへの説明責任を果たす必要があります。また、NGT48のメンバーは全員が20代以下で未成年者も多いことから、運営会社はメンバーの家族に対しても説明責任を果たす必要があるでしょう。

 NGT48の永続性を維持するためにも、NGT48とその運営会社はCSRの重要性を再認識して行動に移さなければなりません。

リスクマネジメント:同様の事件を防ぎ、メンバーが安心して活動できる環境を整える

 今回の事件は「若い女性が自宅の玄関で男2名に襲われた」暴行事件ですが、特に「メンバーが暴行事件を手引きした」悪質なケースです。 暴行事件を手引きしたメンバーがNGT48に所属し続ける限り、同様の事件が起きる可能性を、いったい誰が否定できるのでしょうか。「リスクマネジメント」の観点から、再発防止に向けて徹底した施策が講じられるのは当然です。

 また、仮にこのような事件を手引きしたメンバーが許されるとしたら、NGT48の他メンバーはもとより、同じAKB48グループなどのメンバーにも示しが付かないでしょう。事件を手引きしたメンバーへの対応をうやむやにし続けたら、NGT48のみならず他のアイドルグループでも同様の行為に及ぶメンバーが出現する可能性があります。

 何より、今回は暴行事件でしたが、同様のケースが起きた際、それが強制性交(強姦)や殺人などの事件に発展する蓋然性すらあります。実際に山口さんは「殺されていたら……」と涙ながらに命の危険を訴えていたとされています。

www.huffingtonpost.jp

 リスクマネジメントの観点から、事件の再発を防ぎ、メンバーが安心して活動できる環境を整えるためにも、事件を手引きしたメンバーに対して厳正な対応が求められることは明らかです。

顧客ロイヤルティ:ファンが安心して応援できる環境を整える

 アイドルグループにとって、スポンサーと同様、もしくはそれ以上に重要なのが「ファン」の存在です。彼らの存在がなければCDやライブチケットの売り上げは得られませんし、ファンのいないアイドルグループにはスポンサーも資金を提供してくれません。 したがって、アイドルグループにとって「顧客からのロイヤルティ(忠誠心)」は酸素のような存在であると言えます。

 しかし、アイドルグループやその運営会社が信頼できないとしたら、ファンはアイドルを応援できるでしょうか。例えば「自分の“推しメン”の健康や安全が守られない」「メンバーが一部のファンと私的に交流している実態がある」としたら、アイドルグループがファンからの信頼とロイヤルティを失ってしまいます。

 顧客ロイヤルティを維持し、ファンに継続してCDやライブチケットを買って貰って利益を得続けるためにも、メンバーの安全確保や綱紀粛正が求められるでしょう。一部のファンを自宅に招き入れているメンバーに対しては行動を改めさせるとともに、事件を手引きしたメンバーに対しては必要な処分を講じることも検討されなければなりません。

コーポレート・ガバナンス:コンプライアンスを徹底させ、顧客ロイヤルティを高められる体制を構築する

 NGT48の寮は「アイドルグループの寮」であることを考えると、当然ながらファンは立ち入りできないことでしょう。また、一般に「恋愛禁止」と言われているAKB48グループの一角であるNGT48であれば、彼氏やセックスフレンドなどの立ち入りも当然に禁じられていることも容易に想像できます。

 それらの内規に反する行動が常態化していたのだとすれば、それは「ガバナンスの不徹底」であると言えます。NGT48としての内規や経営サイドの方針がメンバーに周知されていなかったり浸透していなかったりしていたのであれば業務に関する連絡に不備があったということですし、メンバーが内規や方針を知っていながら破っていたのだとすれば「コーポレート・ガバナンス(企業統治)の失敗」に他なりません。

 NGT48の運営会社が内規や方針を現場のメンバーたちに周知・浸透させ、その法令・規則や常識・倫理などの遵守を徹底させるメカニズムの構築が必要でしょう。さもなければコンプライアンスに違反する事件が起きたり、NGT48がファンやスポンサーからの信頼や信用を失ったりすることも十分に考えられます。

 NGT48がコンプライアンスの徹底と顧客ロイヤルティの維持を達成し続けるためにも、経営サイドから現場に至るまで、規律あるメカニズムを構築していくことが不可欠でしょう。

 

まとめ

山口さんの行動は賞賛こそされど、決して批判されるようなものではない

 山口さんの行動は刑事事件と人権問題の被害者として当然のものであるばかりか、すべてのアイドルグループに所属するメンバーを守るために必要なものでした。彼女が事件を明るみに出さなければ、重大な刑事事件や人権問題はもちろん、NGT48のコンプライアンスやガバナンスを巡る劣悪な状況が世に知られることはありませんでした。「社会は刑事事件や人権問題を許さないことが証明された」というマクロな観点で、同様の事件が起きにくくなりつつあると言えるでしょう。

 また、山口さんの行動によって、今まで想定されていなかったであろう「メンバーが他のメンバーを傷つけようとする」という、すべてのアイドルグループが抱えるセキュリティホールも明らかになりました。「各アイドルグループはメンバー同士の犯罪行為も含めたセキュリティ対策を講じる必要を突きつけられた」というミクロな観点でも、同様の事件に対する再発防止策が促されたと言えるでしょう。

 むしろ、山口さんの行動がなかったら、同様の事件を企む人物に対して、重大な刑事事件や人権問題に対する社会の姿勢を示すことはできませんでした。また、「メンバー同士の犯罪行為」というおそらく前例がなかったであろうセキュリティホールも指摘されませんでした。

山口さんの勇気ある行動が、山口さんと同じような事件に巻き込まれる被害者の発生可能性を引き下げたことは明白です。彼女は本来であれば讃えられるべきであり、謝罪する必要はありません。

今回の事件でNGT48とその運営会社には課題が突きつけられた

 同時に、山口さんの行動によってNGT48とその運営会社には課題が突きつけられたのも事実です。

 NGT48の寮で重大な刑事事件が発生し、規則に反する行動を取ったメンバーとの密接な関連性が指摘される上にNGT48とその運営会社が適切な対応を怠ったということ。コンプライアンスとガバナンスの不徹底に他なりません。規則に反する行動を取ったメンバーのファンには耳の痛い話かもしれませんが、そのメンバーに対しては厳正な対応が求められることは明らかです。

 CSRの観点からもファンやスポンサー、メンバーやその家族からの信用に対する説明責任を果たすなどの適切な対応が求められるほか、顧客ロイヤルティの維持に向けた施策も必要でしょう。

 そして同様の事件を防ぐために、徹底したリスクマネジメントが求められることも言うまでもありません。

 NGT48が今後も続いて、新潟はもとより社会に元気と活力を与え続けてくれることを願うばかりです。そのためには「未来志向の課題解決」が必要不可欠だと断言します。

 

 

最後に、山口さんを巡り事件について、Change.orgで署名キャンペーンが展開されているので紹介しておきます。今村悦朗支配人の辞職はともかく、運営スタッフが説明責任を果たす必要は前述した通りでしょう。

www.change.org

*1:NGT48には「チームNIII」と「チームG」がある。